
みかんの苗木を植えるのに40ヵ所ほど穴を掘ることになった。
「穴掘り」と言うと、多くの人はスコップで掘ることをイメージすると思うんじゃけど、土が固い場所や、石が交じった場所の穴掘りをする場合には、スコップじゃと時間も体力もかなり消耗してしまう。
じゃけど、そこまで深くない穴(4~50cm程度)なら、”鍬”を使えばスコップのみで穴を掘るよりも、断然楽で尚且つ少ない時間で穴を掘ることができるんじゃ!
刃の面積が通常の鍬よりも狭く厚みのある、”たけのこ堀鍬”や”バチ鍬”や”ツルハシ”があれば穴掘りがかなりはかどるぞ。
新しいみかんの苗木を植える理由
みかんの木は古くなってくると味や収穫量が悪くなったり、病気が出やすくなったりするけん、収穫量を確保する為に古い木を切り倒して新しい苗木を植えてやる。
今回、植え替えたのはだいぶ元気が無くなってきた樹齢50年程のみかんの木じゃ。
苗木を植える前には古い木を切り倒すんじゃけど、俺が生まれる前からそこにあったみかんの木との幼少の頃の思い出が頭をよぎり、少し寂しい気持ちになる。
木を植え替える理由は他にもあって、好奇心で新品種を試しに植えてみたいとか、利益を増やす為に売値の高い物に植え替えられたりもする。
そろそろ本題に入るとするかの。
楽で早い穴掘りの方法!
いきなり目印の竹の棒を目がけて鍬をふり下ろしてもえんじゃけど、先ずは掘る場所がハッキリと解るようにする為、目印の周りをぐるっと軽くスコップを入れる。
下の写真の右側に倒れとるのが、俺の田舎では”ちょうなんが”と呼ばれとる鍬じゃ。パッと見は”たけのこ堀鍬”じゃのう。
こんな感じでぐるっと一周したら、スコップですくう様にしてやると・・・
パカッと蓋が取れたように表面のみ取れて、穴掘りの大きな目安ができるけん、ここをひたすら掘ればええ。
で、早速ここからは鍬がその威力を発揮する!
スコップを鍬に持ち替えて振り下ろす!
下の写真は鍬の刃の地面に対する角度がよくないんじゃけどあくまでイメージと言うことで気にせんとってくれ。
鍬が地面に対して垂直に近い角度になるように打ち込むと地中深くまで刃が入る。スコップよりも鍬の方が遥かに貫通力が高い。
鍬の刃を地中に打ち込んだ後は柄を起こして土をえぐる作業を何回かしてやれば、土はフカフカに柔らかくなるぞ。
鍬を打ち込む時に刃の角度を気をつければ、振り下ろす方向に力を入れる必要はほどんどない。鍬の自重だけで十分に地面に対する突き刺さる力は強い。
念を押して言うが、鍬を振り上げるのに力を使うだけで、振り下ろすのには殆ど力を入れる必要はないけんの。
鍬を打ち込んでフカフカになった土はスコップで簡単にすくえるけん、楽に穴の外に出す事ができる。
地面を掘るメインは鍬。スコップはあくまで穴から土を出すのと、側面を削って穴の形を整えるだけの役割じゃ。
形の良い丸い穴が掘れた時は思わず身内に見せびらかして自慢したくなるのう。大体、直径、深さ共に40cm位の穴を掘った。
鍬を使ったら楽に穴が掘れるとは言え、二日で約40ヵ所の穴を掘ったらかなり疲れたのう。
ひたすら穴を掘り続けるだけってのは辛いけん、気分転換に合間に他の農作業をしながら穴を掘った。
何個か穴を掘ったら慣れたけん、最初から鍬で掘り始めるようにしたら、更に楽で早く穴が掘れるようになったぞ。
穴掘り中に木の根が出てきた時の対処法
穴を掘っとったら岩やら木の根やらが出てきて作業に時間がかかることも多々ある。
岩は小さい物なら掘り出したらえんじゃけど、大きさが解らんぐらいの大きな岩に当たった場合は掘る場所を変えた方が幸せになれるかもしれんぞ。
木の根ならなんとか対処できるけん、穴を掘る場所を変える事はあまりない。
直径が2cm位までの根なら、スコップに足をかけて体重を乗せれば切断することができるぞ。場所によっては下の写真の様に木の根だらけの時もある。
木の根が直径3cmよりも大きくなるとスコップでの切断は難しいんじゃけど、鍬なら少々太い根っこでも案外楽に切断可能じゃ。下の写真は鍬を振り下ろして切断した木の根。
穴掘りの最中に鍬で木の根を切断する時は、穴の手前側(自分に近い側)で鍬を振り下ろすようにしたほうがええぞ。
穴の奥側(自分から遠い側)に鍬を振り下ろして根を切断するのは非常に困難じゃけんの。
支点の位置と作用点の位置、そして鍬を振り下ろす軌跡が円弧であることを想像してみ。奥側の根を切る為に鍬を振り下ろすと、穴の壁に鍬の刃が当たりそうになるけん、根を切るのは難しい。
最後に
穴を掘る時は鍬やツルハシを地面に打ち込み土をほぐしてから、スコップで土をすくい出すと楽に早く穴を掘ることができるけんの。
スコップはあくまで土を外にすくい出すのと穴の形を整えるのに使い、鍬で穴を掘り下げる。
いつか将来に穴を掘る機会があった場合、覚えとったら便利じゃけん忘れんようにの!
穴掘り中に手に持った年代物の鍬を見ると、刃の先端部分に筋があることに気が付いた。(下の写真の矢印部)
実はこれ、鍬の刃がちびて短くなったのを鍛冶屋が刃を継ぎ足した跡なんじゃ。
刃がいくら金属と言えど、長い間使用していくうちに削れてちびてしまい短くなってくる。刃が短くなった農具は昔は鍛冶屋に持って行って継ぎ足してもらいずっと使い続けとったんじゃ。
現在では刃がちびたら買い替えるのが当たり前の時代。刃を継ぎ足して使い続ける事なんか知らん人間の方が多いんじゃろうのう。
うちの実家の近所にも昔は鍛冶屋があったんじゃけど、もう何十年も前になくなってしもうたけん、この鍬の刃がちびてしもうたらそれが寿命ということになる。
道具は大事にせんといかんのうと思いつつも、疲れたらしゃがむのがしんどいけん、スコップには自分で立ってもらう。
すばらしい記事でした!
自分の農作業にも参考にさせていただきます(≧▽≦)
コメントありがとうございます。
農業のテクニック的な事は色々あるんじゃけど、あんまりネットには出回っとらん事も多いけん、役に立ちそうなネタがあったらまた記事にするけんね~。
農家ではありませんが屋外での植木やコンクリートの基礎工事などのDIYでは穴を掘る作業は避けて通れません。つるはしや鍬を活用したことはありますが、これほど丁寧に解説して頂けて大変参考になりました。
コメントありがとうございます!参考になったんならえかった!
地面がやおいときはスコップのみでも掘れるんじゃけど、鍬やツルハシがあった方が穴掘りははかどるんよね~!
とっても参考になりました。
ところで一つ質問いいですか?
学校で、腰ぐらいまでの
深い穴を掘ります。
20〜30メートルの長さです。
どうすれば早く終わりますか?
できれば1日で終わらせたいんですよね〜
読んでもろうてありがとうございます!
腰程の深さで2、30mの穴を掘るとは凄すぎる!
残念ながら妙案は持っとらんけん頑張って気合でなんとかしてつかーさい!